発達障害に対しての当院の取り組みについて

診断について

初診に際しての問診票の2(ダウンロード問診票)は発達障害、特に薬物治療が可能と考えられる注意欠如多動性症(ADHD)を意識して作成したものであり、ご本人の困りごとを中心にしています。この表で時に困ることが多い方はADHDを考えて診断、治療にあたっています。発達障害に関しては幼少期の状態も重要な情報で、ご家族や周囲の方々からの評価も必要です。以上の情報によって発達障害と診断される場合もありますし、全員に行ってはいませんが、症状や状態によっては心理検査、知能検査(WEIS-Ⅲ)を行って参考にします。さらに一般的に使われているCAARS質問紙によっての評価、QAD(コミュニケーション手帳)も使用して経過を見させていただきます。

治療について

治療もご本人の困り様によって対処していきます。発達障害の病態を理解していただくための説明をしていくだけの方もいらっしゃいますし、臨床心理士による精神カウンセリングで対処できる方、さらに薬物療法(®ストラテラ、®コンサータ)や併存疾患の治療も行っていく必要の時もあります。ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)に代表される発達障害は様々な精神症状も併発することが多いと考えられています。うつ病、うつ状態は最も多い併存病態であり、双極性障害(躁うつ病)、パニック障害や広場恐怖などの不安性障害、強迫性障害、パーソナリティー障害等があります。併存する精神症状の治療が優先することもあり、それぞれの治療についても詳しく説明することを心がけています。

長崎大学の今村明先生の講演からの抜粋ですが、「ADHDの天敵は時間と未来である」という格言があります。周囲の方々に理解していただくとともに、不注意には実用的な対策を一緒に考えてもらいます。スケジュール帳、やることリスト、雑記帳などを活用、スマートフォンの機能で、ボイスメモ、アラーム、リマインダーを使用。メモ、付箋、メールを使って行動を確認、仕事はマニュアル化していただく事も有用と考えます。やり方は文字情報だけではなく、動画を使って理解、習慣づけのためにコーチングも使えます。これらは服薬の継続のためにも必要とされます。

  1. 発達障害者の診断と治療
  2. 漢方薬について

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